終わることの素晴らしさ - ARIA 12巻  注)ネタバレありあり!!!

ARIA(12) (BLADE COMICS)

ARIA(12) (BLADE COMICS)


ネタバレあるので見てない人は読まないほうがいいです。
ARIAは素晴らしい作品なので、この記事を読む前に一度漫画 or アニメを見ることをお勧めいたします。





ARIAが終わった。文句なし。堂々の最終巻だった。

最終巻である12巻はこれまでとは全く内容が違うと思う。今までは灯里達を中心とした、少し幻想的な心地よい物語。キャットシーの話だったり、プリマになるためのレッスンだったり。その最後のクライマックスはやはりアリスちゃんのプリマ昇格の話だったと思う。そしてそこから、ARIAという物語は大きく動き出す。


12巻では灯里も藍華もさらりとプリマになる。もちろん感動ではあるのだが、プリマになるという事にスポットをあてた話ではなかった。12巻に載ってある話はすべて「終わり」という意味を込めた話。ずっと終わらないと思っていたのは灯里だけじゃない。アリスちゃんの昇格の話に戻ると、あの話まで読者は - 少なくても俺は - ずっと3人の中の良い姿を見ていることができると思っていた。アリスちゃんの試験も ようやくシングルになるのかぁ くらいの気持ちで読んでいたところに、驚きの飛び級。そして変わっていく日常。

しかし終わるからこそ新しい始まりがあるという、「終わる」という事のもう一つの意味。中でも一番感動したのは118P〜121P。要約すると「一緒に歩いているときは同じ道を進んでいるように感じるけど、本当はみんなそれぞれの道を進んでいる。だけどその道を進んできたからこそみんなに会うことができた」。高校でも大学でも会社でも、一緒にいるとみんな同じ道をあるいているような気がして、それがずっと続いていくような気がする。だけど、始まるまでは元々バラバラで、みんな別々の道を歩いているはず。そんな当たり前のことを気づかせてくれる話でした。

でも、さらに150P-151Pでは「だからこそ、今を大切にね」と言ってくれてる。素晴らしいね。みんな未来を目指して別々の道を進んでいる。だから終わってしまうことを恐れてはいけない。終わりは始まりだから、いつも前を向いて生きていく。だけども、だからこそこの掛け替えの無い今を大切にするんだ。って事ですよ。


灯里はARIAの中でこれまでずっと日常にある、幸せを気づかせてくれました。そして最後の最後で、誰もが目を背けたくて、だけど絶対にいつかくる「終わる」という事の幸せを教えてもらったような気がします。ARIAが終わってとっても寂しい。3人にはもっともっと会いたいとは思うけど。ARIAという物語は、終わることで完成し、これからも名作として、その存在は受け継がれていくはずです。

ありがとうARIA。本当にありがとうARIA。